専門実践教育訓練給付金は受講中に50%、資格を取って就職すると+20%、さらに賃金が5%以上上がると+10%で最大80%になります。この最後の10%だけ、申請の窓が特殊です。就職した日の翌日から6か月を経過した日から起算して6か月以内——つまり半年待たないと申請できず、そこから半年で閉じます。他の申請がすべて「1か月以内」なので、同じ感覚でいると取り逃します。令和6年10月1日以降に受講を開始した人が対象です。
制度情報の基準日 2026-08-23 / 出典は厚生労働省 業務取扱要領(令和8年8月1日以降)・専門実践教育訓練のご案内(001529622)・賃金5%上昇のリーフレット(PL070331保01)
「最大80%」は一度に払われるものではありません。3回に分けて、別々のタイミングで、別々の期限で申請します。
| 段階 | 給付率 | 条件 | 申請期限 |
|---|---|---|---|
| 受講中 | 50% 年間40万円まで | 受講して支給単位期間を満たす | 支給単位期間(6か月)の末日の翌日から1か月以内 |
| 資格取得+就職 | +20% 年間16万円まで | 修了・資格取得のうえ、修了日の翌日から原則1年以内に一般被保険者等として雇用される(またはすでに雇用されていて1年以内に資格を取得する) | 雇用された日(先に雇用されている場合は資格取得日)の翌日から1か月以内 |
| 賃金が5%以上上昇 この記事の対象 | +10% 年間8万円まで | 上の条件に加えて、訓練修了後の賃金が受講前の賃金から5%以上上昇 | 同じ起算日の翌日から6か月を経過した日から起算して6か月以内 |
金額のシミュレーションは教育訓練給付金シミュレーターでできます。専門実践は上限が「連続した2支給単位期間ごと」に判定されるため、受講料を一括で払うか分割で払うかによって受け取れる総額が変わります。ここは計算しないと気づけない部分です。
ここがこの制度でいちばん誤解されている部分です。比べているのは月給でも年収でもなく、雇用保険の「賃金日額」どうしです。
| 受講開始時の状況 | 受講前の賃金日額として使う値 |
|---|---|
| 離職している | 直近の離職に係る賃金日額 |
| 在職している | 受講開始日の前日を離職日とみなした場合に算定される賃金日額に相当する額 |
こちらは、リーフレットの表現ではこうなっています。
専門実践教育訓練を修了し、その訓練に係る資格取得、かつ、就職した日から1年が経過するまでの期間における連続する任意の6か月間の賃金を基礎とするみなし賃金日額。
「連続する任意の6か月間」——ここが効きます。就職してから1年の間なら、どの連続6か月を使うかを選べるということです。入社直後は試用期間で低く、半年後に本採用で上がる、あるいは4月の昇給で上がる、といったケースでは、高いほうの6か月を選べば5%を超えられる可能性があります。入社直後の6か月だけを見て「5%届かなかった」と諦める必要はありません。
リーフレットは「❸÷❶≧1.05であれば支給」(訓練開始前に離職していた場合)、「❸÷❷≧1.05であれば支給」(訓練開始時に在職中だった場合)と書いています。5%以上の上昇で成立します。
賃金日額の一般的な算定では賞与(3か月を超える期間ごとに支払われる賃金)は除かれますが、この5%判定に使う賃金について、賞与や臨時の賃金をどう扱うかを明記した記述を、厚生労働省のリーフレット・パンフレット・業務取扱要領のいずれにも見つけられませんでした。賞与の増減で5%を跨ぐような境目の方は、断定的な解説を鵜呑みにせず、住居所を管轄するハローワークに確認してください。
専門実践の申請期限は、ほとんどが「1か月以内」です。ところが+10%だけ違います。
資格を取得し、雇用保険の一般被保険者等として雇用された日の翌日から6か月を経過した日から起算して6か月以内。
理由は単純で、比較に使う「連続6か月分の賃金」が揃うまで判定できないからです。しかしこの構造は実務上かなり危険です。
就職が決まった時点で、カレンダーに2つの日付を入れてください。「雇用された日の翌日から1か月以内」(+20%の期限)と、「雇用された日の翌日から6か月を経過した日」(+10%の窓が開く日)です。
③に注意してください。受講開始前の6か月分の給与明細が必要です。受講開始が数年前になっている人は、当時の明細が手元に残っているか、いま確認しておいたほうがいいです。転職していれば前職の書類です。後から取り寄せるのは手間がかかります。
「賃金が5%上がる」と聞くと転職前提に思えますが、業務取扱要領の条文はこうなっています。
……修了した日の翌日から起算して1年以内に一般被保険者等として雇用された者又は雇用されている者のうち、当該専門実践教育訓練修了後の賃金が受講前の賃金から5%以上上昇したもの……
「又は雇用されている者」が入っています。いまの会社に在職したまま資格を取り、社内で昇給・昇格して賃金が5%以上上がった場合も対象です。資格手当がつく職場なら、これで届くことがあります。
在職継続の場合、比較の基準になる「受講前の賃金日額」は受講開始日の前日を離職日とみなして算定されます。つまり受講開始時点の賃金が固定された基準になるので、受講中に昇給していた分もカウントされます。
上限は3つの層で効いてきます。混ざりやすいので分けて書きます。
| 層 | 上限 | 内容 |
|---|---|---|
| 期間ごと | 年間64万円 | 40万(50%分)+16万(+20%分)+8万(+10%分)。業務取扱要領の表現は「連続した2支給単位期間ごと」で、支給単位期間は6か月なので実質「年間」です |
| 1つの訓練の通算 | 192万円 | 64万円×3年。2年課程なら128万円 |
| 10年間の通算 | 192万円 | 最初に専門実践教育訓練給付金を受給した訓練の受講開始日を起点として10年を経過するまでの間に受講開始した訓練の合計額 |
法令上最短4年の専門実践教育訓練(専門職大学等、管理栄養士の養成課程)については、3年目の受講終了時に、10年間の支給上限額192万円((40万円+16万円+8万円)×3)に、4年目受講相当分として上限64万円(40万円+16万円+8万円)が上乗せされます。合計で最大256万円です。「専門実践は最大192万円」という説明だけを見て諦めないでください。
離職して専門実践を受ける人の生活費を補償する教育訓練支援給付金は、基本手当の日額に相当する額の60%です。令和7年3月31日以前に受講を開始した場合は80%でした。まだ「80%」と書いている解説が残っています。他の条件は次のとおりです。
この「出席率8割」は教育訓練支援給付金のルールです。専門実践教育訓練給付金そのものの法定要件として「8割以上出席」を定めた記述は業務取扱要領に見当たりませんでした。修了の判定は各教育訓練施設の修了認定基準によります(その基準を満たさないと受講証明書・修了証明書が発行されず、結果として給付金が受けられません)。実質的に出席は重要ですが、「国が8割と決めている」という説明は正確ではありません。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 支給要件期間 | 原則3年以上。初めて教育訓練給付金を受ける場合は、当分の間2年以上 |
| 前回受給からの間隔 | 受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けたことがあるときは支給されない |
| 離職者の場合 | 被保険者資格の喪失日の翌日から1年以内に受講開始。申し出により最大19年の延長が可能(通算で最大20年) |
| 受講前の手続き | 受講開始日の14日前(2週間前)までにハローワークで受給資格確認。訓練前キャリアコンサルティングを受けたジョブ・カード(発行から1年以内のもの)が必要 |
80%まで取り切るには、受講を決める前から終わったあとまで、ずっと同じ設計の中にいる必要があります。順番に並べるとこうなります。
⑤の「1年以内の就職」と⑦の「賃金5%上昇」は、講座を選ぶ段階の判断に効いてきます。就職支援がある講座か、資格に手当がつく職場に届く講座かで、受け取れる総額が数十万円変わります。