給付金の計算のもとになる教育訓練経費は、入学料と受講料の合計です。ここで多くの人が2つ誤解しています。ひとつは「教材費は対象外」——受講に必要な教科書代・教材費は受講料に含まれます。もうひとつは「請求書の額がそのまま経費になる」——キャッシュバック・スクールのポイント・自治体の割引・会社からの手当・免除された入学料は、すべて差し引かれます。判断の軸はひとつで、自分の名前で、実際にいくら負担したかです。
制度情報の基準日 2026-08-23 / 出典は厚生労働省 業務取扱要領(教育訓練給付・令和8年4月版)58114・58215、一般教育訓練給付金関係手引(教育訓練施設用)、各リーフレット、厚生労働省Q&A
| 区分 | 率 | 上限 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 | キャリアコンサルティング費用を2万円まで経費に加算できる(この区分だけ) |
| 特定一般教育訓練 | 40% | 20万円 | 資格取得+就職で50%・25万円(令和6年10月1日以降の受講開始) |
| 専門実践教育訓練 | 50% | 40万円 | 上限は「連続した2支給単位期間(=6か月×2)ごと」。1つの訓練の総額は50%で120万円/70%で168万円/80%で192万円が限度 |
| 70% | 56万円 | ||
| 80% | 64万円 |
金額の概算は教育訓練給付金シミュレーターでできます。このページは、その計算に入れる「経費」の中身の話です。
リーフレットには「含まれません」の列挙しか書かれていないので、そこだけ読むと「教材費は全部対象外」と読めてしまいます。ところが業務取扱要領と教育訓練施設用の手引には、経費の定義そのものが書かれていて、そこにはこうあります。
入学料(対象教育訓練の受講の開始に際し当該一般教育訓練実施者に納付する入学料又は登録料)及び受講料(受講に際して支払った受講費、教科書代及び教材費であって最大1年分)
読み取れることが3つあります。
一般教育訓練は「最大1年分」、専門実践教育訓練は業務取扱要領58215で「受講料(受講に際して支払った受講費、教科書代及び教材費であって最大3年分)」となっています。専門実践のリーフレットにはこの年数の限定が書かれておらず、要領を見ないと分かりません。
2年課程なら問題になりませんが、3年を超える課程を検討している方は、4年目の受講料の扱いをハローワークで確認してください。
リーフレットが列挙しているのは次のとおりです。
受験料が入らないのは効いてきます。資格講座は「受講料+受験料」でパッケージ表示されていることが多く、その受験料の分は戻りません。見積もりを取るときは内訳を分けてもらってください。
ここが全体を貫く原則です。厚生労働省のQ&A(Q14)は、こう書いています。
教育訓練経費は、受講者自らの名において支払った費用であることが必要であり、明らかに入学料及び受講料以外に充てられる額を除き、自らが支払っていない費用はすべて差し引くことになります。
この原則から、次がすべて説明できます。
| ケース | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 自治体の公的な割引制度を使った | 割引後の額が経費 | Q&A Q14/要領58114(4)へ |
| 会社が受講に伴う手当を出した | そのうち入学料・受講料に充てられる額を差し引く | 各リーフレット |
| 会社が直接スクールに払った | 原則として経費にならない(本人が払ったことが証明されないため) | Q&A Q13 |
| 過去に入学したので入学料が免除された | 免除された入学料は経費に含められない | Q&A Q15 |
| 各種割引・キャンペーンが適用された | 割引後の額が経費 | 各リーフレット |
逆に言えば、会社が費用を出してくれる場合、その分は給付金では戻りません。会社負担と給付金の二重取りはできない、という設計です。
ここは教育訓練施設向けの手引にしか書かれていない部分で、受講者向けの資料には出てきません。それでも申告するのは受講者本人なので、知らないと事故になります。
名目の如何を問わず受講経費の一定額を還付する措置を講じた場合(現金だけでなく書籍、物品、パソコン等の無償提供、廉価な販売等を含む。)は、実質的な値引きとして扱われ、還付後に実際に負担した額が経費になります。
「現金でなければセーフ」ではありません。受講特典としてパソコンや書籍をもらった場合も差し引きの対象になりえます。
手引はポイントを2つに分けています。
同じ「ポイント還元」でも扱いが逆になります。申し込む前に、そのポイントが何に使えるのかを確認しておいてください。
対象一般教育訓練の受講により模擬試験等の別講座を割引価格にて受講した場合は、教育訓練経費から差し引く必要はない。とされています。
受講生紹介制度の謝礼は、その謝礼が指定教育訓練の受講者に限定されず一般の受講者も対象になるときは原則として差し引き不要です。裏を返すと、指定講座の受講者だけがもらえる紹介謝礼は差し引きの対象になりえます。
手引の規定はこうです。
支給申請の時点で、一般教育訓練実施者に対して未納としている入学料又は受講料は、「教育訓練経費」とされない。
「まだスクールに払っていない分」は経費に入りません。分割で直接スクールに払っている場合、申請時点で残っている分はその回の申請では計上できません。
クレジット(信販会社)を使った場合は、手数料の扱いが明記されています。
その額とそれが加算される前の正味の額を区別する必要があり、この正味の額が「教育訓練経費」に該当し、クレジット会社に対する手数料(金利)は「教育訓練経費」に該当しない。
つまり金利分は戻りません。手引はクレジット契約分について「クレジット契約証明書」という専用書類を定めており、領収書の代わりにこれで経費を証明します。申し込むときに、スクールがこの証明書を出せるかを確認してください。
また、領収書やクレジット契約証明書の発行後に値引き等で還付が発生した場合、教育訓練実施者は還付額とその理由等を明記した「返還金明細書」を受講者に発行することとされています。受講後に一部返金があったら、この書類が要ります。
専門実践教育訓練は6か月ごとの支給単位期間ごとに申請するので、入学料をどこに入れるのかが問題になります。厚生労働省のパンフレットの計算例では、第1期の教育訓練経費の欄が「50万円(入学料含む)」となっており、入学料は按分されず初回にまとめて計上されます。
これは上限の使い方に効いてきます。上限は「連続した2支給単位期間ごと」にかかるので、入学料が乗る最初の1年は上限に当たりやすく、入学料の大きい課程ほど、初年度で上限に届いて切り捨てられる分が出ます。
受講前の手続き(受給資格確認とジョブ・カード)の段取りはこちら、生活費のほうの制度は教育訓練支援給付金にまとめています。
一次資料に当たりましたが、次の点は確定できませんでした。推測で埋めていません。