2025年4月から、自己都合で辞めた人でも教育訓練を受ければ給付制限が解除され、基本手当を受け取れるようになりました。ただし解除のされ方が2通りあります。離職日前1年以内に受けていた人は待期満了後から丸ごと解除、離職日以後に受け始めた人は受講開始日以降しか解除されません。同じ講座を受けても、受けた時期で結果が変わります。しかも申し出には期限があります。
制度情報の基準日 2026-08-23 / 出典は厚生労働省リーフレット LL070228保01・改正法通達(令和6年5月17日 基発0517第1号ほか)・雇用保険部会 第197回 資料1
リーフレットの表現は「退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月」です。判定は退職日で、受講開始日ではありません(あとで出てくる「解除」のほうは受講開始日基準なので、混ざりやすいところです)。
この1か月への短縮は、法改正ではなく通達(業務取扱要領)の改正で行われました。厚生労働省の労働政策審議会 雇用保険部会の資料に、こう書かれています。
このほか、通達の改正により、原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする。
法改正なら条文が変わるので気づかれますが、通達改正は表に出にくく、「自己都合は2か月」と書いた解説がいまも大量に残っています。ここは新しい情報のほうが正しいと思ってください。
なお5年ルールについて、部会資料は「5年間で3回以上の自己都合離職」、リーフレットは「退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合」と書いています。今回の離職を数に入れるかどうかの差で、同じことを指していると読めます(過去に2回あれば今回が3回目)。回数がぎりぎりの方は、必ずハローワークで自分のケースを確認してください。
ここが最も誤解されています。リーフレットが挙げているのは4つの類型です。
改正法の通達は、これをまとめて「教育訓練給付の対象となる教育訓練その他の厚生労働省令で定める訓練」と呼んでいます。①だけではありません。
とくに③がききます。短期訓練受講費は、厚生労働省の資料によれば「公的職業資格の取得を目標とする1か月未満の教育訓練」で、しかも「一般教育訓練給付の対象講座として指定されていないこと」が要件の制度です。つまり教育訓練給付の指定講座になっていない短期の資格講座でも、この類型に入りうるということです。「給付制限を外すには専門実践のような長い講座が要る」わけではありません。
ただし短期訓練受講費の側には、受講前にハローワークの職業指導を受けていることと待期期間が経過した後に受講を開始したことという条件があります。「勝手に短い講座を受けてから申し出る」では要件を満たさない可能性があります。受ける前にハローワークで相談してください。
①に当たるかどうか(指定講座かどうか)の確認方法は講座検索システムの読み方にまとめています。
改正法の通達は、給付制限の対象としない人を2つに分けています。
どちらも対象ですが、解除の起点が違います。リーフレットの図では、こうなっています。
| 受けた時期 | 給付制限が外れる起点 | 結果 |
|---|---|---|
| 離職日前1年以内に受けた(修了した) | 待期満了後から | 給付制限が丸ごと無くなる |
| 離職日以後に受け始めた | 受講開始日以降 | 受講開始日より前の制限期間は戻ってこない |
離職してから講座を探し、申し込み、受講が始まるまでに2週間かかったとすると、その2週間分の給付制限は解除されません。逆に、辞める前に対象の訓練を修了していれば、待期の7日が明けた時点から基本手当が出ます。
いま在職中で自己都合退職を考えていて、資格やスキルの勉強もするつもりなら、順番を逆にするだけで受け取れる日数が変わります。ここは制度の作り上そうなっているだけで、どこにも大きく書かれていません。
ただし離職前ルートには「途中退校は該当しません」という条件が付いています。始めただけではだめで、修了している必要があります。
この制度は日付の基準が2種類あって、混ざると読み違えます。
読み合わせると、令和7年3月31日以前に退職した人(給付制限は原則2か月のまま)でも、令和7年4月1日以降に対象の訓練を開始すれば解除の対象になりうるように読めます。ただしこの組み合わせを明示した記載をリーフレットには見つけられませんでした。該当しそうな方は、自分の退職日と受講開始日を示してハローワークで確認してください。
解除は自動ではありません。ハローワークへの申し出が要ります。リーフレットの記載はこうです。
受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。
必要な書類は訓練開始日が記載された領収書、または訓練実施施設による訓練開始日の証明書です。証明書のひな形は厚生労働省が配布しています。
ただし、こういう例外もあります。
教育訓練給付金の受給手続きをされた場合など、既にハローワーク側で確認事項を把握している場合には、提出を求めないことがあります。
専門実践や特定一般を受けるために受講開始日の2週間前までに受給資格確認を済ませている人は、ハローワーク側にすでに情報があるので、書類を求められないことがある、ということです。それでも申し出そのものは自分から行うつもりでいてください。
なお、7日間の待期は解除されません。リーフレットも「基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後」を前提に書いています。給付制限は待期の後ろに置かれる別の段階で、外れるのはそちらだけです。
リーフレットの注記です。
重責解雇された場合は、本取扱いの対象外です。
通達も対象を「正当な理由なく自己の都合により退職した受給資格者」に限定しています。この解除は自己都合退職の給付制限だけに効きます。就職や職業指導を拒否したことによる給付制限は別の条文で、こちらの対象ではありません。
そもそも自分が給付制限を受ける立場なのかどうか(会社都合か自己都合か、正当な理由があるか)は、離職票の離職理由で決まります。ここに納得がいかない場合は、ハローワークで異議を申し立てることができます。
離職して専門実践教育訓練を受ける人には、生活費として教育訓練支援給付金という別の制度があります。ここで順序の問題が起きます。
厚生労働省のパンフレットは、こう書いています。
実際に基本手当の支給を受けたかどうかにかかわらず、基本手当の残日数がある場合は、教育訓練支援給付金は支給されません。
つまり基本手当が先、支援給付金は後です。給付制限が解除されると基本手当が早く出はじめる → 残日数がある間は支援給付金が出ない → 支援給付金の開始が後ろにずれる、という順番になります。
基本手当のほうが日額は高い(支援給付金はその60%)ので、金額として損とは限りません。ただし「いつ、何が、いくら出るのか」の並びが変わることは知っておく必要があります。
上の結論は、「給付制限が解除されて基本手当が出る」という記載と、「基本手当の残日数がある場合は支援給付金は支給されない」という記載を組み合わせた読み方です。この2つの制度の順序を正面から説明した公表資料は見つけられませんでした。
専門実践+支援給付金を前提に離職の時期を組み立てている方は、必ずハローワークで自分のスケジュールを示して確認してください。ここを読み違えると、生活費の入り方が数か月ずれます。
一次資料に当たりましたが、次の点は確定できませんでした。推測で埋めていません。