特定一般・専門実践の教育訓練給付金は、受講開始日の14日前までにジョブ・カードを添えてハローワークに出さないと受けられません。ところがジョブ・カードは自分で書いただけでは完成しません。キャリアコンサルタントとの面談(訓練前キャリアコンサルティング)を受けて、実施者の記入欄を埋めてもらう必要があります。その面談は予約制で60〜90分、しかも予約の時点で受ける講座が決まっていることが前提です。ここを知らずに2週間前から動くと、間に合いません。
制度情報の基準日 2026-08-23 / 出典は厚生労働省 業務取扱要領(教育訓練給付・令和8年4月版)58131・58133・58231・58233、各リーフレット、キャリア形成・リスキリング推進事業、マイジョブ・カード
この3つの間に、「予約が取れるまでの待ち時間」と「自分でシートを書く時間」が挟まります。そこが見落とされます。
なお、この手続きが必要なのは特定一般教育訓練と専門実践教育訓練です。一般教育訓練には、受講前にハローワークへ行く手続きそのものがありません。「教育訓練給付金を使うなら、まずハローワーク」という説明は、区分によっては当てはまりません。自分がどれに当たるかは4制度の判定ページで確認できます。
手続きの順番は、厚生労働省のページにこう書かれています。
専門実践教育訓練給付金または特定一般教育訓練給付金を受けようとする場合、ジョブ・カードを作成したうえで、ハローワークやキャリア形成・リスキリング支援センターにおいて、「訓練前キャリアコンサルティング」を受け、ジョブ・カードの確認を受けていただく必要があります。
「ジョブ・カードを作成したうえで」が先に来ているのがポイントです。面談に行けば作ってもらえる、という順番ではありません。
1〜4に何日かかるかは、公表資料では分かりません。ただ予約制であること・事前記入が必要であること・面談が60〜90分であることの3つがはっきりしている以上、「14日前」に動き出して間に合う構造にはなっていません。講座の申し込みを考え始めた時点で、同時に予約を取りにいくのが安全です。
業務取扱要領は、特定一般・専門実践のどちらにも同じ条件を置いています。
受講開始日前1年以内に訓練前キャリアコンサルティングを受けたものであること。(58133(3)ロ(ハ)/58233(3)ロ(ハ))
つまり「思い立ったときに受けておく」が通用する期間は1年間だけです。2年前に別の講座を検討して面談を受けたジョブ・カードは使えません。
業務取扱要領は「受講開始日前1年以内」、特定一般のリーフレットも「受講開始前1年以内に訓練前キャリアコンサルティングを受けたもの」ですが、専門実践のリーフレットは「ジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの)」と書いています。
面談日と発行日が同じなら差は出ませんが、ぎりぎりの人は要領の側(受講開始日から1年さかのぼる)で考えたほうが安全です。判断が分かれそうなら、ハローワークで自分の日付を示して確認してください。
ジョブ・カードの様式1-1(キャリア・プランシート)には、本人が書く欄のほかに「キャリアコンサルティング実施者の記入欄」があります。項目は実施日時/所属/氏名/電話番号/登録番号です。
マイジョブ・カードのよくある質問には、この欄についてこう書かれています。
助成金等の申請や職業訓練の実施に伴い作成される場合を除き、省略することが可能です。
裏返すと、給付金の申請に伴って作る場合は省略できません。ここが空欄のジョブ・カードは、書類として完成していないことになります。要領も「訓練対応キャリアコンサルタントは訓練前キャリアコンサルティングを実施し、……ジョブ・カードを作成し、本人に手交する」と書いており、受け取るところまでが手続きです。
さらに、実施者はジョブ・カードに「雇用保険法施行規則に規定する留意事項に沿って実施した」旨を記載することとされています。受け取ったら、実施者欄と併せてこの記載があるかを見てください。
面談で使う様式は、委託事業の案内では次の4点です。様式1-1 キャリア・プランシート/様式2 職務経歴シート/様式3-1 職業能力証明(免許・資格)シート/様式3-2 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート。様式はマイジョブ・カードから入手できます。なお業務取扱要領の本文には様式番号の指定がなく、単に「書面(ジョブ・カード)」と書かれているだけです。実務上どの様式を求められるかは窓口に確認するのが確実です。
厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」の窓口であるキャリア形成・リスキリング支援センターは、こう書いています。
キャリア形成・リスキリング支援センターでは、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを無料で実施しています。
この事業は株式会社パソナが厚生労働省から受託して運営しています。訓練前キャリアコンサルティングはハローワークでも受けられ、実施形式は「対面またはオンラインのどちらでも受けることができます」とされています。
一般教育訓練のリーフレットには、こう書かれています。
受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタント)が行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を、2万円を上限として教育訓練経費に加えることができます。
ところが特定一般・専門実践のリーフレットの「教育訓練経費」の定義には、この加算の記載が見当たりません。どちらも「受講者が教育訓練実施者に対して支払った入学料および受講料の合計をいい……」で始まり、キャリアコンサルティング費用に触れていません。
つまりキャリアコンサルティングが必須なのは特定一般・専門実践なのに、その費用を経費に入れられると明記されているのは、必須でない一般教育訓練のほうという形になっています。有料の民間キャリアコンサルタントに払った費用は戻ってこない可能性が高いので、無料の公的窓口を使うのが合理的です。
※「記載が見当たらない」であって「加算できないと明記されている」ではありません。有料で受けることを検討している方は、支払う前にハローワークで確認してください。
訓練前キャリアコンサルティングができるのは訓練対応キャリアコンサルタントで、厚生労働省の案内は要件を2つ挙げています。
国家資格を持っているだけでは足りず、指定の研修まで受けている必要があります。「キャリアコンサルタントの知人がいるから書いてもらう」ができるとは限りません。
そして令和6年4月1日に、次の要件が外れました。
従来規定されていた、特定一般教育訓練若しくは専門実践教育訓練を行う法人・団体の被雇用者や役員でない者という旨の要件が削除されました。
つまりスクールに所属しているキャリアコンサルタントでも、訓練前キャリアコンサルティングができるようになりました。受ける側からすると、講座を申し込むスクールでそのまま面談まで済ませられる可能性がある、ということです。手間としては楽になります。
要件の削除とセットで、雇用保険法施行規則(第101条の2の11の2第5項・第101条の2の12第8項)に留意事項が置かれています。
受講予定者に対し、自らが役員である又は自らを雇用する法人又は団体の行う教育訓練を受けるよう不当な勧誘を行わないこと。
加えて「適切な教育訓練の選択を支援すること」も留意事項です。スクール所属の人が自社の講座を勧める構造になりうることを、国の側が前提として規制しているということです。スクールで面談を受けること自体に問題はありませんが、講座選びの相談と、その講座を売る側は、同じ人になりうると理解したうえで臨んでください。講座を比べる材料は講座検索システムの読み方に整理しています。
2026年8月時点の正式名称は、事業がキャリア形成・リスキリング推進事業、窓口がキャリア形成・リスキリング支援センターです。全国に拠点があり、予約は電話または申込フォームで受け付けています。
この窓口は名称が変わってきているため、古い解説では別の名前で書かれていることがあります。検索して出てこないときは、名前ではなく厚生労働省の委託事業サイトから辿ってください。ハローワークの窓口に「訓練前キャリアコンサルティングを受けたい」と言えば案内してもらえます。
予約時に必要なのは訓練校名・訓練コース名・訓練開講日の3つです。面談当日はハローワークで実施されるケースがあり、案内には「ハローワークの『総合受付』にお立ち寄りいただき」と書かれています。センターに行くのかハローワークに行くのかは予約時に確認してください。
一次資料に当たりましたが、次の点は確定できませんでした。推測で埋めていません。